受賞一覧
『抱擁家族』(ほうようかぞく)は、小島信夫の長編小説。1965年7月号の「群像」に掲載・発表された後、同年9月に講談社より書籍化され、同年に第1回谷崎潤一郎賞を受賞した。
同作が制作された背景には、作者の小島信夫自身が1963年に学生結婚を果たした妻を亡くしたことがあるとされている。
江藤淳の評論『成熟と喪失』(1967年)にて大々的に批評の対象となった。大人=主体への「成熟」を忌避する、「「父」としての統治能力の欠如」によって家庭崩壊に至ることになる主人公像は同時代の日本の象徴であるという読解は強い影響力を与え、本作を戦後日本を考察する上で繰り返し参照される作品へと導いた。