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(「騎馬民族征服王朝説」に転送)
騎馬民族征服王朝説(きばみんぞくせいふくおうちょうせつ)とは、東北ユーラシア系の騎馬民族が、南朝鮮を支配し、やがて弁韓(任那)を基地として日本列島に入り、4世紀後半から5世紀に、大和地方の在来の王朝を支配し、それと合作して征服王朝として大和朝廷を立てたとする学説。単に騎馬民族説(きばみんぞくせつ)ともいう。
東洋史学者の江上波夫が、(1) 古墳文化の変容、(2) 『古事記』『日本書紀』などに見られる神話や伝承の内容、および、(3) 4世紀から5世紀にかけての東アジア史の大勢、この3つを総合的に解釈し、さらに (4) 騎馬民族と農耕民族の一般的性格を考慮に加えて唱えた、日本国家の起源に関する仮説である。
この説は戦後の日本古代史学界に大きな波紋を呼んだ。一般の人々や一部のマスメディアなどでは支持を集めたが、学界からは多くの疑問が出され、その反応は概して批判的であった。ことに考古学の立場からは厳しい批判と反論がよせられた。21世紀にあっては、この説を支持する専門家はごく少数にとどまっている。
なお、この説の批判者である白石太一郎や穴沢咊光は、騎馬民族による征服を考えなくても、騎馬文化の受容や倭国の文明化など社会的な変化は十分に説明可能であると主張している。